1
<すずめさん>
「お休みの所申し訳ありません。准将と連絡を取りたいのですが…」「え?あ、じゅ…いえ」うろたえないで下さい。僕も顔から火を噴きそうなんです。「了解しました。折り返し電話していただきます」准将、お願いですから公衆電話からかけて下さい。ハヤテ号の声が聞こえてきたら僕いたたまれません。
<とも>
あーあ、面倒だなぁ。きっとここだよ。「あ、フュリーです。」「おはよう。あの、何か?」「お休みの所申し訳ありません。准将と連絡を取りたいのですが…」「え?あ、じゅ...いえ」やっぱり。体裁整えるこっちの身にもなってくれよ。朝までやってたんだろう。今度盗聴器でもしかけてやろうかなー。
 *黒フュリー

2
<ぷにさん>
「…っていう夢を見たんだよ、昔」「へえ…」「君と出会う前だった」「…」「同じ夢を昨日見て思い出したんだ」「…」「…リザ?」「…私も夢を見ました、昔」「え、嘘」「嘘」「なにそれ、ちょっと運命感じたのに」「してやったり」「どや顔やめたまえ」
<とも>
「やめませんー。ふふーん」こんな機会はめったにないので得意になって顔を近付けた。ちゅっ。「ん、なっ、何するんですか!」「君のどや顔があんまり可愛いから、ついね」ニヤリ。「どうした?してやったりじゃなかったのかね」やられた…また彼のペースに嵌ってしまった。

3
<きくのさん>
「だから言ったじゃないですか…車を出すべきだと」「こんなのはすぐに止むだろう?良いじゃないか雨宿りぐらい」「ですが…」濡れた前髪を書き上げると、いつもの見慣れた童顔からキリリとした大人の男性に見えてドキリとする…(だから嫌なのに)「中尉…怒ってるのか?」まともに貴方を見れないだけ
<とも>
なんだか変な気分。今夜は誘っても...って、仕事中に何を考えてるの!「中尉」「はっ、はい」「この後は大した仕事は入ってないな」「はい」「よし、直帰だ」と歩き出す彼。「あっ、濡れてしまいます」「かまわない。どうせシャワーを浴びるだろ?」振り向いてニヤリと笑う。ああ、みんなお見通し
<きくのさん>
彼の家に着くなり「先にシャワーを浴びなさい」「しかし…」「一緒がいいのか?」彼に見とれていたのかコクリと頷くと「…っ、独りで温まりなさい!今一緒に入るとやばい…ほら!!」バスルームに追いやられてから自分の行動に後から気が付く。どんな顔して出て行こう…ぶくぶくと潜ってしまいたい
<とも>
もちろんヤル気満々で自宅に連れてきたのは確かだが、あんな顔を見てしまってはいきなり襲ってしまいそうでやばい。全く、初心者じゃあるまいし、何を動揺しているんだ。男を誘う女の顔...だめだ、思い出すだけで熱くなる。ああ、もう知らん!なるようになれ。ガチャリとバスルームのドアを開けた。
<きくのさん>
ふと気が付くと…「あれ…ここは」「ベットの上だよ、驚いたよ。温まれとは言ったが溺れろとは言わなかったぞ」「すいません…」「適当にシャツを着せただけだ…水飲むかね?」渡された冷たい水が体に染み渡る「あ、大佐はシャワーは?」「浴びてきたよ」彼の手が私の頬をなでるが冷たく感じる。
<とも>
「冷たいです」「あ、すまん」「気持ちいいです」離れようとする彼の手に自分のを重ねる。「大佐の手...好きです」「いったい今日はどうしたんだ、おかしいぞ」自分でも分からない。「弱ってる女性に手は出したくないんだが...襲ってもいいだろうか?」「お願いします」ああ、やっぱりおかしい。

4
<とも>
「中尉の理想は?」「そうねぇ…」仲間達との他愛もない会話。「私のことを丸ごと抱え込める人かしら」 「マッチョですか?!」「ばーか、違うだろ」「意外に普通っすね」店からの帰り道、さっきは黙っていた彼が口を開いた。「君のことを抱え込めるのは私しかいないと思ってる」「…期待しています」
<いずみんさん>
「なあ、中尉を抱え込める人ってどんなんだろーな」「まだ気にしてんのかハボ」「抱え込める、てのがさ」「抱え込むのは普通は厄介ごとだな、確かに」「自分のこと厄介だと思ってんのかな」「厄介なとこも引き受けてくれるってことだろ」「ち、ノロケか」「今気付くなよ」

5
<とも>
熱のせいで朦朧とした意識の中、額に置かれた大きな手に気付く。今側に居るのは彼だと知っているけれど、幼い頃のあれは父だったのかお弟子さんだったのか…重い瞼を上げて顔を確認する。「すまん、起こしたか」「いえ、あの…手が…」「ああ、師匠の真似だよ」そう言って彼は髪を優しく撫でてくれた。
<いずみんさん>
「俺さ、彼女できたらやってもらいたいことがあるんだ…」「またか」「熱出して見舞いに来てくれて『大丈夫?』ってオデコに手を…」「お前、こないだ中尉に『熱でもあるの?』って言われててただろ」「そうじゃなくて!あー、中尉が熱出したら俺が…」「先約アリ、だろ」

6
<とも>
「大佐、爪が伸びてます」「ん?ああ」「手、出してください。右手はそのまま仕事をどうぞ」「右手の時はどうするんだ」「その間だけ休憩です」「相変わらず厳しいね」パチン、パチン「失礼しやーっす、って、あんた中尉に何させてんですか!中尉もそこまでしなくていいですよ」「だって痛いんだもの」
<いずみんさん>
「…ってわけよ。過保護にも程があるよな」「ずいぶん脇の甘いことだな。ま、ノックもせずに入るのはお前か鋼の大将くらいか」「クッソ、俺も今度からはノックして入るぜ!あと爪はマメに切ることにしたぜ」「お前はそこは心配いらねーだろ」「言うなあぁぁぁ」
<いずみんさん>
「そういえばアル、今日中尉が大佐の爪切ってたよな。あんとき『だって痛いから』って中尉が言ってたの、何だったんだろーな。『痛いんですか』って訊いたらいきなりごまかしただろ」「んー、ひょっとして…」「何だよ」「大佐が中尉をひっかくとか…」「何だそれ?」

7
<HIROKOさん>
鏡の中の自分を見つめると左胸の上に紅い跡が一つ。頬に瞼に唇に、数え切れないキスの雨を降らせる彼が、たった一つ跡を残す箇所。通う血の温もりを、確かな鼓動を、生きている証を確かめるように跡を残すのは、きっと喪失の恐怖を知っているから。『大丈夫、私は貴方の命令を守りますから』
<とも>
彼女の全身にキスの雨を降らせる。頬に瞼に唇に首に手に腰に足に…そして左胸に。私に抱かれると少し速くなる鼓動を感じて安心する。生きている、傍にいてくれる感謝の証に左胸に一つだけ跡を残す。優しい彼女は何も言わずにそれを受け入れる。そこに所有印という邪な意味も含まれているとも知らずに。

8
<とも>
「君も食べたまえ」フォークごと目の前に突き出された。 「え、お口に合いませんでしたか?」「美味いから君も一緒に」「…ありがとうございます」受け取ろうとしたら睨んでくるので仕方なく口を開ける。うん、我ながらよくできてる。「残りは今夜いただくよ」「あ、はい」「あのー、ここにサイン…」
<いずみんさん>
「俺さ…マジでついてないと思うんだよね…」「そうか?」「だって二日連続で中尉と大佐が仲良くしてるの見ちゃったんだぜ?あーあ、俺も中尉に優しくしてもらいてぇ…」「じゃあ優しくしてもらえる秘訣を教えてやるよ」「え、そんなのあるの?」「ドアは必ずノックしろ」

9
<とも>
一人での夕食後、シャワーを浴びてソファでうとうと。気が付くともう真夜中で愛犬を抱え上げ話しかける。「来ないね…ハヤテ号」「誰が来ないって?」「ひゃっ!」突然後ろで声がして心臓が飛び跳ねる。「ただいま」「…おかえりなさい」驚いてつい返事をしたけれど…ここは貴方の家ではありませんよ?
<とも>
酒場からの帰り道、もう真夜中だが足は自然と彼女の家へ向かう。リビングに入ると眠そうな様子で犬に話し掛けている彼女。やはり待っていてくれたのか…思わず口元が緩んでしまう。「ただいま」「…おかえりなさい」条件反射だとしても迎えてくれるその一言が嬉しい。これでまた明日からも頑張れるよ。
<いずみんさん>
「寒っ!…おばちゃん、熱燗!」「俺も!あとシチューね」「宿舎の俺の部屋北向きだから寒くてさ~。あーあ、暖炉の燃えてるあったかい部屋で『おかえり』とか出迎えてもらいてー」「お前を待っていたい奴、いそうじゃねーか」「それマジシャレなんないからやめて(涙」

10
<とも>
「これでは帰れませんね」「帰れんな」嵐が近付いているせいで外は車も出せないほどの土砂降り。しばらく仕事で泊り込みだったからやっと帰れると思っていたのに。「まあ、ここが我が家だと思えば…実際そうだがな」硝子越しに彼と目が合い苦笑する。「…そうですね」そっと触れてくる手を握り返した。
<いずみんさん>
何だよこの土砂降り!やっと帰れると思ったのによ~」「帰れませんね」「帰れねえな」「だいたいこの部屋、臭くねーか?男だけで3日間詰め込みとかよ」「しかたねーな、俺のとっておきを出すぜ」「うぉ、おま、これ!?」「アルコール持ち込みは…」「しっ、黙ってろ」

11
<とも>
深夜に司令部を出ると何処からか甘い薫りが漂ってきた。「金木犀だな」「懐かしいですね」「ああ、匂いというのは記憶に直結しているんだ。脳にある海馬が…」彼が蘊蓄を語り出し二人の間の空気が変わる。私もこの薫りが続いている間だけ自分を許すことにして、彼に気付かれないよう半歩距離を縮めた。
<いずみんさん>
「なぁ聞いてくれよぉぉ、裏門近くのとこにいい匂いの木があるだろ?そこで大佐と中尉が見つめあってたんだぜちくしょー」「あー、金木犀のとこな」「絵になりますね」「金木犀:モクセイ科モクセイ属の常緑小高木樹で、ギンモクセイの変種…」「お前ら俺の話を聞けえ~」

12
<シロさん>
「私とエリザベス、どっちが好きれすか?」「どっちも君だろう」酔っ払った中尉を支えながら歩く。「らってエリザベスと話してるときの方が楽しそうじゃないれすか」「それは…」普段とは違う君とのやりとりが楽しいんじゃないか。「どっちれすか」「リザが好きだよ」…聞こえないふりか。耳が赤いぞ。
<とも>
「そういう君は」「え?」「いつもの私とロイさんとどっちがいいんだ?」「どっちもたいさじゃないれすか」思わず顔を上げて反射的に答えた。「それは狡い。私はちゃんと答えたぞ」私を困らせようとニヤニヤしてるのが憎らしい。「えーと…どっちもれす!」あれ?大佐、照れてます?顔が真っ赤ですよ。

13
<とも>
「いつの間にこんな準備を」「食事に誘っても誰かさんが一向に頷いてくれないのでね」食堂で用意されていた二人と一匹分のランチを中庭で広げる。「こんなにいい天気なんだ。閉じ籠もってるのは勿体ないだろう?」「そうですね」素直に頷いてしまうのは心地よい天気のせい。そういうことにしておこう。
<いずみんさん>
「いいか、今週末は野営訓練だ。決定だ。命令だ」「今度はどうしたんです」「中尉と大佐が中庭でピクニックしてたんだってよ」「だからって野営訓練っておかしくないですか?だいたい女性が…」「無問題だ。お前が女装しろフュリー」「いやん」

14
<とも>
痛くて涙が流れる。きっかけはいつも些細なこと。赤ん坊を見かけたとか、中佐に写真を見せてもらったとか。人を羨んでいるのでも自分を蔑んでいるのでも心が揺らいでいるのでもない。この痛みは命を産む体を与えられながらも本能に従わず、それどころか同種殺しを行っている女への罰。ただ、心が痛い。
<はせけーさん>
痛い、辛い、悲しいと泣き叫んでくれたらどれだけいいだろうか。彼女はいつもと変わらぬ顔で傷ついていく。誰にも言わずにたった独りで。聞いても答えてくれないので、私には何も出来ない。ただ、彼女の痛みを想像してその分だけ彼女を愛しく思う。無力な私。それでも君を好きでいる事を許して欲しい。

15
<はせけーさん>
「また『情報収集』ですか…」「最近はハズレが多い」「ハズレでもやる事はやってらっしゃるのでしょう?」「それも仕事だ。仕方ないだろう?」「大変なお仕事だこと」「…女の嫉妬は醜いぞ?」「そんなんじゃ」「泣くな。君が泣いてもどうにもならない」「わかってます…」「2時には戻る」「…はい」
<はせけーさん>
2時には帰るだなんて嘘つき。もう4時前だ。別に帰りを待っている訳じゃない。ただあの男がどんな顔でこの部屋に来るのかを見たいだけ。我ながら恐ろしい、女の性。膝の上で寝ているハヤテを抱きしめると涙が何故か零れた。疲れているのかしら。ああ、でも待っていなきゃ。あの人がここに帰って来る。
<はせけーさん>
夜明けも近く彼女の部屋に帰って来る。ソファでうたたねをしながら待つ彼女。こんな風に待たれるのは好きではないけれど彼女には不似合いで許してしまう。頬に残る涙の跡。心を痛めなければならない場面なのだろう。「…そんなに私が好きか?」涙の跡を舐めると、眠ったままの彼女は幸せそうに笑った。
<とも>
朝ベッドで目が覚めた。昨夜はソファで転寝をしていたはずで、自分で移動した覚えはない...いつ帰って来たのだろう。隣で眠る男を起こさないように、黒髪をそっとなでる。少し幸せな夢を見ていたような気がするけれど、所詮は夢ね。気付かれないうちに涙のあとを消してこよう。
<はせけーさん>
「おはようございます」「…ああ」意識しないと顔が緩む。犬ころが私の足元で吠える。「トーストで良いですか?」「玉子も付けて」「用意してますよ」赤い目に気付かないフリをするのも朝の日課だ。「今夜は?」「何もない」顔が明るくなる彼女。演技は上手くないらしい。
<とも>
いつも通りに朝食の支度。トーストを焼き、サラダとゆで卵を準備していると彼が起きて来た。「おはようございます」「...ああ」ちゃんと挨拶はできたみたい。今夜は出かけないと聞いてうれしいけれど、そんなことは表に出してやらない。「こら、ハヤテ号、吠えちゃだめよ」彼の足元の小犬を宥めた。

16
<はせけーさん>
彼女の背中をとてもうつくしいと思う。禍々しい陣と火傷。陽に晒される事のない白くなめらかな背中。私だけが目にする事を許され、触れていいのも私だけ。「…見ないで下さい」彼女が恥じらいながら訴える。無理な相談だ。私はこんなにうつくしい物を他に知らない。私はそっと口づける。私だけの背中。
<とも>
背中に視線を感じながら最後の下着を脱ぎ捨てる。自分では見ることのできない禍々しい陣と醜い火傷の痕を愛でる男。美しいだなんてお世辞にも言えない背中に彼の熱い吐息を感じる。見られたくない女心を知っているはずなのに意地悪な人。でもこの背中を見せられるのは彼ただ一人と悦ぶ私も存在するの。

17
<とも>
「どうした?浮かない顔だな」「...」「憂い顔もいいが、今日だけはそんな顔をされると自信がなくなるな」「すみません」「責めてるんじゃないさ。理由を聞かせてくれないか?」「あの、いいんでしょうか。こんなに幸せで。なんだか怖くて...」「私も少し怖いが、二人なら大丈夫だろう?奥さん」
<はせけーさん>
ずっと夢をみてるのだと思っていた。優しい彼も白いドレスも全部。「私の事を一番に考えるのが、君の欠点だ。我儘になりなさい。私の様に」「でも…」「今何がしたい?」真剣な彼の瞳。「もう一度、さっきみたいに呼んで下さい」「ん?…ああ。わかったよ、奥さん」頬が熱い。今日、この人の妻になる。
<とも>
お爺様にエスコートされて歩くバージンロード。この赤い絨毯の先には私のかけがえのない人が待っている。なのに視界がぼやけてはっきり見えないなんて、今日ばかりは鷹の目も役に立たない。「幸せにおなり」そう言って貴方の手に引き渡されてやっと姿が確認できた。お爺様、私はもうとっくに幸せです。
<はせけーさん>
式が始まったばかりなのに花嫁はもう瞳に涙を溜めていた。「可愛い孫を頼むよ、マスタング君」将軍が笑う。「はい」頷く私を見て花嫁の瞳からは大粒の涙。本当は格好よい言葉を並べたいのに花嫁があんまり幸せそうで胸がいっぱいになる。「…リザ」ぐっと堪えて歩き出す。二人のこれからの未来へ。
<とも>
恥ずかしくて顔が見られない。それでなくてもあんな泣き顔を見られたのだ。化粧は崩れるし目は腫れるし最悪。「こっち向いて」「…」「ねえ」「…嫌です」「どうして?恥ずかしい?」「嫌だったら嫌です」この人は複雑な女心を分からないのか、それとも分かってやってるのか。二人で迎える初めての朝。
<はせけーさん>
彼女はびっくりするくらい可愛い事を言う。今日も涙で腫れてしまったと言う顔を見せてくれない。「こっち向いて」「…」「ねえ」「…嫌です」「どうして?恥ずかしい?」「嫌だったら嫌です」ぷいっと拗ねた。「可愛い奥さんの顔が見たいのに…」耳が赤くなった。根負するカウントダウンが始まる。

18
<はせけーさん>
風呂あがりの彼女はバスタオル一枚で、 私の目の前を歩く。濡れた髪、火照った頬、ずらりとした脚。彼女の愛犬と遊ぶふりをする。「遊んでもらってるの?ハヤテ」目の前で彼女が屈んだ。露わになる太腿。「…あまり刺激的な格好をしないでくれないか?」彼女が上目遣いで笑う。「誘ってるんですよ?」
<とも>
「誘ってるんですよ」いつもと違い積極的な彼女に少し戸惑う。「その気になりませんか?」清らかな石鹸の香りも彼女が纏うと艶かしいものになって私に迫ってくる。このまま流されるのもたまにはいいか。「いいや、大歓迎だ。キスもしてくれると嬉しいな」甘い唇を味わいながらバスタオルに手をかけた。

19
<はせけーさん>
「大佐、お食事の仕度が出来ました」「…なぁ、家の中でくらい名前で呼んでくれないの?」「…ダメです」「どうして?昔は呼んでくれたじゃないか」「子供の頃の話です…そんなに私を困らせたいんですか?」「うん。君が困ってるところが可愛いのがいけない」「…もう!」「また困ってる。可愛いなぁ」
<とも>
「お願いだから、名前で呼んでよ」「ダメです。仕事の時にとっさに出たら困ります」「じゃあ、今だけでいいから」「嫌です」「なんで」「だって今さら...恥ずかしいじゃないですか」「それがいいんじゃないか。ほら」「...マ、マスタングさん」「うっ、恥ずかしいな...」
<はせけーさん>
「恥ずかしがるなら初めから言わないで下さい!」「…すまん、こんなに恥ずかしいとは思わなかった」「顔赤いですよ」「君もな」「誰のせいですか!」「怒らなくてもいいじゃないか」「今日はご飯あげません!」「えー?」「もう帰ります!」「リザ様、すみませんでした」
<とも>
「ごめん、本当にごめん。だから帰らないで」「いつもそうやって謝っても、またからかうじゃないですか」「今度こそ、もうしません」「知りません」「ううっ、ごめん、ごめんよう、えぐえぐ。お願いだから、ひっく、帰らないでぇ、ずびっ」「泣かないでください!気持ち悪いです」

20
<はせけーさん>
「あ、しまった。こんな時間か」「…何かご予定でも?」「デートだ」「えっ?」「若い子でとても私が好きなんだそうだ。くっついて離れてくれなくてね…」「よかったじゃないですか」「プロポーズまでされたよ」「…それは…」「…心配するな。ヒューズに呪われたくはない」「准将?」「エリシアだよ」
<とも>
大佐は明日彼女とデート。ウキウキと準備をしている。「プレゼントは何がいいかな?」「さあ」私に聞かないで。「やっぱり服もバッチリ決めていった方がいいな」「そうですね」同意を求めないで。「ふっ、君妬いてるだろう」「妬いてません!」「眉間にシワ」「!」「可愛いなぁ」

21
<はせけーさん>
「まぁ、初恋なんてはしかみたいなものだろう。すぐ忘れるさ」「…そうでしょうか?」「ん?」「大人が思っているよりも、あの頃の初恋は大切なんですよ?そんな風に言わないで下さい」「…急に態度が変わったな。何か思い出す事でもあるのかい?例えば…君の初恋?」「違います!」「真っ赤だよ?」
<とも>
「あ、貴方の方こそどうなんですか?!」「何?」「そんなことおっしゃるなんて、覚えてないんですか?初恋の方のこと」「そうだなぁ…君どう思う?」「どうして私に聞くんですか。貴方のことでしょう、分かるわけありません」「そう?君にしか分からないと思うんだけど」「え?」
<はせけーさん> 「…大佐の仰っている意味がよく…」「うん。わからないならいいよ」「あの…」「ん?」「大佐の初恋は実りましたか?」「どうだろうね?君は?」「…私はよくわからないけど、昔も今も幸せです」「…うん、じゃあ私も同じだ」「…そうなんですか?」「うん、そうなんだ」

22
<はせけーさん>
「あれ?中尉の髪になんか付いてますよ?蜘蛛の巣?」「あっ…ありがとう、少尉」「倉庫の整理してくれたんスか?」「…ええ」「おい、ハボック。さっきの書類字が汚くて読めん。書き直せ」「またっスか?…あれ?大佐の肩にも蜘蛛の巣が…」「ああ、さっきちょっと…な」「二人とも仕事してください」
<とも>
少尉は甘いなー。クモの巣だけじゃないじゃん。大佐は上着のボタンはずしてるし、中尉は髪留め直してるだろ。注意力が足んねーんだよ。きっと次は黙って覗きに行こうとか考えてんだろうなあ。そんなことしても自分が虚しくなるだけなのに。ホント馬鹿だよね。そうだ、少尉にカメラとマイク仕込んどこ。
 *黒フュリー

23
<いずみんさん>
「ふるいつきたくなるようないい女、ってよく言うよな」「ほんとにいるのかどうかわからんけどな」「逆に食い物を女ってことにすればよくねえ?」「おう。女みたいな桃とかな」「見かけは地味でも噛めば噛むほど味がある…ビーフジャーキー…」「ファルマン…深いな…」
ブレダさんの場合…「女みたいな食べ物っすか。さっき桃って言いましたけど?そうじゃなくて?んー、食い物は食えばわかるけど女は食ってもわかんねえからなあ…おっと失言だったかな」
ファルマンさんの場合…「ええ、ビーフジャーキーですよ。噛めば噛むほど味がある。しかもメーカーによってそれぞれ味が違う。食べ過ぎると胸焼けしますがしばらくするとまた食べたくなる。実に女性ですね。元々は西方原住民の保存食だったと言われていて…(以下薀蓄)」
フュリーさんの場合…「えっ僕ですか?ええと…ショートケーキとか…そうです苺の。なんでって、こう…かわいいし…いい匂いだし…見るだけでワクワクしてくるし。でもなかなか食べる機会がないんですよね…はぁ=3」
ハボックさんの場合…「うーん、料理つうか、プリンかな~。ほら、ぽよよんぽよよんしてるトコがボインっぽいじゃないすか。それで甘いし。見るとついデレっとしちゃいますね~」
<とも>
「何の話だ?」「女を料理に例えて…っと、すんません」「いいのよ、気にしないで」「大佐の好みは?」「フルコース!」「何でも美味しくいただくとか」「ふむ…シチューかな」「平凡なのがいいと?」「いや、材料を仕込むところから始めて、何日も煮込んでトロトロになったやつだ」「「「ああ~」」」
<いずみんさん>
「今日の大佐のシチューって、エロかったよなあ…」「ちょっと中尉には悪かったですね」「ちょっとどころか。中尉、相当恥ずかしそうだったぞ」「え?いつも通りじゃね?」「ったく、だからお前はモテねえんだよ。耳真っ赤にして膝モジモジしてただろ」「うっわ////」
<とも>
「君、ほとんど食べてなかったな」「そうですね」ばか!「何を怒ってるんだ?」「何も」あんなこと言うなんて信じられない!「お腹すいてないの?」「すいてません」人前であんなこと…ああ、また身体が火照ってきた。恥ずかしい!「思い出して感じてただろう」「!」「実に美味そうな顔をしていたよ」

24
<室井さん>
ベッドの隅で本を読んでいたら、彼に引き寄せられた。「何を読んでいるんだ?ん?」「ちょっと待って、今片手で私の体を引き寄せました?」「…何かまずかったか?」「女の力ではそんな事はとても…所詮男女では力の差が…」「待て待て、今はそんな事はいいじゃないか」「駄目…私鍛えないと…」
<とも>
ベッドの隅で本を読んでいたら、彼女に引き寄せられた。「何を読んでいるんですか?」「ちょっと待て、今片手で私の体を引き寄せたか?」「…何かまずかったですか?」「女の力ではそんな事はとても…普通男女では力の差が…」「今はそんな事いいじゃないですか」(貞操の危機!)

25
<はせけーさん>
昔から目覚めがいい私が君に頼んだ、毎朝のモーニングコール。それを知ってて、毎朝律儀に電話を掛けてくれる君。ただの上司と部下の関係でいいから、いつまでも君に一番におはようと言うのは私でありたい。だから今朝も珈琲を片手に電話の前で待っている。「おはようございます、大佐」「…おはよう」
<とも>
けたたましく朝を告げる目覚まし時計に手を伸ばす。ガタタン。もぞもぞとベッドから這い出して鳴り続けるそれを拾い、電話の前に座り込む。眠りそうになりながら必死の予行演習。いかにもずっと前に起きていましたとでもいうように。「…ああ、おはよう」電話の向こうの眠そうな声。朝一番の私の任務。

26
<とも>
「リザ」「はっ、はいっ!」やだ、声が裏返っちゃった。「寒くない?」「大丈夫です。マスタングさんこそ寒くないですか?」「うん、俺は大丈夫。リザは髪も濡れたし...あっ、やっぱり冷たいじゃないか!」「...あ」マスタングさんの手あったかい。でもどうしよう、ドキドキしてるのばれちゃう!
やばい!思わず触れてしまったけど、二人とも裸じゃないか。でもこのままでは風邪をひいてしまうし...ええい!「リザ、ごめん!」「えっ」ひやりとした彼女の身体を抱きしめた。「あ、あの、マスタングさん?」「ごめん、何もしないからじっとしてて」「...はい」二人の体温が上がった気がした。
<ぽるかさん>
「…」「…」「…なぁ中尉…こういうシチュエーションって、前もあったよな…」「…ハイ」「今回は冷えてない?」「大丈夫ですから触らないで下さい……ハクション!」「中尉!手も肩もこんなに冷えて!」「な、なにするんですか/////」「だ、だから温めてるだけだから…」「あの…何か…腰に…」
「こ、こ、これは…気にしないでくれ!私だって男だから女性とこんな状況になって裸で抱き合って普通でいられる訳ないんだ。体はこんなだけどやましい気持ちは一切無くて…」「…」「説得力ないかもしれんが、君には何もしないと誓うから…!」「…私が…こんな状況で普通でいられるとお思いですか?」
「…すまない、好きでもない男にこんなことされて不愉快だろうが、非常事態だから我慢してくれ」「…いえ、あの…そうではなくて…」「エッ…?!」それまでうしろからぎゅってしてたけど、リザたんが寝返り打ってこっち向いた!「私だって…年頃の女ですから、それなりに興奮したりもするんです…。」
「中尉…いいの…か…?」「暖めてくれるんですよね…?非常事態ですから…」リザたんが大胆にも増田の首に腕を回してちゅ!増田さん、朝までコースです!!
<きくのさん>
「熱い...」「暖めるどころか汗をかいてしまったな...冷えてないか?」むふっ 「ちょっ、どこ触ってるんですか!こんな時にやめてください」「故意じゃない!動けないんだから仕方ないだろう。君こそ、そんな所でもぞもぞ動かないでくれ」「えっ、大佐!」「だから動くなと言っている!」「やだ、もう///」「やだじゃない!くっ…リザちゃん、ホントもう動かないでください…」
 *雪山妄想

27
<シロさん>
「君を私の補佐官に推薦しようと思う」彼の補佐官になれる。私が彼を『焔の錬金術師』にし、『イシュヴァールの英雄』にした。もうあの家にいた頃の“リザ”ではない。“マスタングさん”ではない。告げることはできないあの頃からの想いをこの言葉に代える。「お望みとあらば地獄まで」傍にいさせて。
<とも>
「君を私の補佐官に推薦しようと思う」何を言っても覆らない彼女の意思を受け入れ、その上で彼女を守るには傍に置くしかない。「付いてきてくれるか」告げることはできない想いと等価交換の、まるでプロポーズのような言葉。「お望みとあらば地獄まで」迷いもなく返ってくる受諾の意。決して離さない。

28
<とも>
久しぶりに夢を見た。暖かく天気のよい日、ブランチにパンケーキを作って家族3人でテーブルを囲む。向かい側に座る人物の顔はぼんやりして分からないが、隣でハチミツまみれになっている子供には誰かの面影。ありえないありえないありえない。そうだ、私はきっとパンケーキを食べたかっただけなのだ。
<シロさん>
家族3人の食卓。顔を蜂蜜だらけにしてパンケーキを頬張る男の子は自分そっくりで。隣で優しく微笑む金髪の女性は自分の副官そっくりだ。「ママだーいすき!」男の子が女性にキスをした。ママ?彼女が?…そこで目を覚ました。夢か。「ありえん…」そう呟きながら、それが自分の願望だと自覚していた。
<こぷれさん>
「珍しいですね、朝食ですか?」人がまばらな朝の食堂で珍しい姿。「君こそ」夜勤明けはコーヒーだけなんじゃなかったっけ?と小声で指摘し、彼女が持つトレイを指差した。「まぁちょっと、小腹がすきまして」「ああそう」バターの焦げるいい匂い。「すみません、パンケーキください」声が重なった。

29
<シロさん>
いい酒が手に入ったことを口実に、休日の彼女の家に押しかけた。たかが1日会えないのが我慢できなかったとは言えなくて。一緒にグラスを傾けるうちに、いつもの彼女らしくない様子に気づく。「そんな飲み方をするなんて珍しいな」と声をかけると潤んだ瞳で見つめ返された。ただ会いたかっただけなのに、違う欲が湧き上がる。理性が保つのは、あと何分だ?(2145)
<とも>
味も香りも楽しむ余裕がないまま杯を重ねる。そんな飲み方をするなんて珍しいと言われても、ぐるぐる回る頭ではうまい返事も浮かんでこない。「…どうしたら貴方をうまく誘えるのかしら、あっ」いきなりグラスを奪われ抱き寄せられた。「何もしなくていい」え?どうしてこの人は私の悩みを知ってるの?  (2150)
 *611Museum企画内企画「とある一日の記録」へ参加

30
<とも>
受話器の向こうからは酒の匂いが漂ってきそうな声。「酔ってますね?」「酔ってないぞ~」「その辺で寝ないでくださいよ」「はははっ、中尉は厳しいなぁ…声が聞きたくてね。おやすみ」「おやすみなさい」上司の酔っ払い電話に本気で怒っているけれど、少しだけ心が許されているようで嬉しいのも本当。
<シロさん>
深夜のドアを叩く音。「わたしだー」この声はさっき電話でおやすみと言った筈の酔っ払い上司。「…どちらの私さんですか」呆れ声で問うと「…ロイ・マスタングです」とフルネームが返ってきた。仕方なくドアを開けると、ぎゅ、と抱きつかれた。「声を聞いたら会いたくなった…」…仕方のない人ですね。

31
<とも>
朝の喧噪の中、なぜかその光景が目に留まり振り返った。黒い髪の男性と彼の子供であろう男の子。抱きかかえられた子供は楽しそうに何かを話し、大きな手で黒い頭を撫でられている。どうして彼らを目で追ってしまったのか。その理由を言葉にしないよう心の奥に閉じ込めて、自分の居場所へと歩を進めた。
<シロさん>
「おはよう」「おはよー」息子が夫に抱っこされて起きてきた。「おはよう、もうすぐ朝食よ」「わーいパンケーキ!」「スープもちゃんと食べるんだぞ」「うん!」「よし」夫が息子の頭を撫でた。昔はあり得ないと思っていた幸せな光景。あり得ないなんてことはあり得ないのよ。昔の私に教えてあげたい。

32
<シロさん>
久しぶりの非番に部屋を片付けると、思いの外彼の物があることに気づく。替えの下着、シャツ、ズボン、ジャケット、軍服、コート、マグカップ、歯ブラシ、剃刀、シェービングクリーム、本、替えの発火布。仕事でも彼で頭がいっぱいなのに、プライベートも彼に侵される。嫌ではないけどちょっと悔しい。
<とも>
探し物をしていてクローゼットの奥に小さな旅行鞄を見つけた。目立たないように仕舞われたその鞄には彼女の私物が入っているらしい。その他にも自分のより小さいサイズの軍服とコート、部屋着、お気に入りのクッション、揃いのマグカップ…改めて部屋を見回せば、彼女の存在がそこかしこに溢れていた。

33
<とも>
肌に纏わりつくような濃い霧の中、黒いコートを追って早足で歩く。こんな視界不良ではどこで何が起こるか分からないのに、あの人はただ真っ直ぐ前だけを見つめ歩いて行く。必死で追いかける私の苦労など考えもせず、ついて来ていると信じて無防備な背中を他人に預ける莫迦な人。そんな貴方が好きです。
<シロさん>
濃い霧の中を歩く。先の見えないこの状態はまるで人生のようで。それでも先に進んで行かねばならないと前を見据えて歩く。自分がこうして進んでいけるのは、背中を守り、ついてきてくれる君のおかげだ。鷹の目が私を見ていてくれている限り、私は進んでいけるだろう。莫迦な男の行く末を見ていてくれ。

34
<とも>
「月が綺麗ですね」背後からの声に顔を上げると、東の空に金色の美しい正円が掛かっていた。「満月か」地上のどんな穢れをも浄化するような光に暫し見惚れる。清廉な光を放つそれは、けれど自己を主張することなく静かに私の後をついてくる。「美しいな」無言で首肯する気配を背に私はまた歩を進めた。
<シロさん>
「月が綺麗ですね」私の声に天を仰いだ彼の横顔をそっと見つめる。暗い夜道を照らす明るい満月の光。イシュヴァールの後どうすべきか考えた時、貴方が進む道について行こうと決めた。貴方は私の道を照らす月の光です、と告げたら貴方はどんな顔をするだろう。「美しいな」彼の呟きにただ無言で頷いた。
 *中秋の名月

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<とも>
大丈夫。このまま帰れば朝には何もなかったように振舞える。大丈夫。彼はいつになく酔っていたから夢でも見たと思うはず。大丈夫。これが最初で最後だとしても身体が昨夜の彼の温もりを覚えてる。目には彼の熱い眼差しが、耳には彼の優しい声が残ってる。一夜の夢を思い出に、きっと私は生きていける。
<シロさん>
大丈夫。彼女は私が強かに酔っていたと思っている。大丈夫。彼女に私の気持ちは気付かれていない。大丈夫。これは今宵限りの夢だ…この指が手が体が、彼女の温もりや柔らかさを覚えていても。甘い吐息や潤んだ瞳を覚えていても。彼女に『私』という枷を増やさない為に、朝には上司の顔に戻ってみせる。

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<とも>
幼い頃から諦めるのは得意だった。可愛い服やお洒落も、学校帰りに友達と遊ぶのも、親に甘えることも、兄のように優しかったあの人への初恋も、全て諦めて生きてきた。なのに貴方は諦めるなと言う。生きることを諦めるな、未来を諦めるなと私を焚き付ける。ならばこの想いも諦めなくてよいのだろうか。
<シロさん>
絶望という言葉を感じたのは何時だったか。国家錬金術師の資格を取った後、君が行方不明だった時。君から与えられた力で殺人兵器に成り下がった時。あの場所で君に再会し、私の夢に君を巻き込んだと知った時。だが、今君は此処にいる。君に諦めるなと言いながら自分を鼓舞し、未来に希望を抱いている。